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カスタマーレビュー ![]()
丁寧な解説と提言
(2008-11-23)
今までの大学教師は教師と言いながらも教育法のスキルを受けているひとがとても少なかった。本書では今大学で問われている学生と教師の関係について問題点と解決案が丁寧に解説されている。少子化時代となって初めて意識するのでは遅すぎたかもしれないが、それでもこれから大学に就職する方には是非読んでいただきたい。しかしここで書かれている大学像は著者の卒業である教養学部にいささか偏っている。例えば医学系では専門で科目選択の余地がなく、事実上すべて必修である。また中には明らかに適性がない学生もいるが途中からの方向転換も難しく、全体としてどうしたらよいのか?アメリカ流なら医学部は大学院教育に相当することは承知しているが、もし日本もそうすれば医師になるのに多大な学資投資が必要となり、それもそれで問題を起こすだろう。自分の環境視点からみると大学は問題山積状態である。
大学の教育活動の根幹を成すのが図書館
(2008-10-13)
日本の教育制度は、許認可制度をいまだに維持している、すなわち護衛船団方式なのであり、民主主義の基盤とは成りえていない。アメリカの高等教育制度は連邦憲法保護下にあり、連邦政府が許認可などありえない。なぜなら民主主義の維持に政府が介入することを憲法が禁止しているからだ。その代わり州(国)政府が指針を出し、大学が個別に具体策を展開し、努力している。指針以上に大学間競争は全米あるいは世界規模なので、学生の集まらない分野は淘汰される。また教員人事も知的資源の充実度に応じて選定されるので、一貫性があり、日本の家元制度的な人事ではない。知的資源と教授体制の関係を著者は図書館の違いで以下のように考察する。日本の大学制度が如何に教育制度と成り得ていないのかを証明した箇所である。
大学の図書館は本のお蔵か?
大学のシステムで、我が国の大学が劣っているのは成績評価だけではありません。実は大学の教育活動の根幹を成すはずの図書館が、しっかりと機能していません。まず問題なのは、そこに収められている蔵書の種類です。多くの大学において、図書館が購入する本の圧倒的大多数は、各教員が選書し、図書館が購入します。・・・「教員が本を学生たちはどのくらい読んでいるの?・・・」・・・「・・・なぜ学生諸君は読まないのかなあ」答えは簡単です。選書基準がしっかりできていないからです。・・・そして教員がその本を学生が読ませるような教育をしていないのです。・・・日本の大学の学生は図書館の利用が諸外国の大学生に比べて極めて低いことは、各種の調査で分っています。・・・それは図書館のせいではなく、教員がいけないのです。
大学の図書館は、教育活動を補助する重要な教育資源です。・・・教員が行っている授業に役立つ本がそこに所蔵されており、授業を履修している学生は絶えずそれらの本を読んでいなくてはならないはずです。・・・大学の図書館は授業に密接に結び付いていなくてはなりません。・・・日本の教員は図書館を自分の授業に使うということをあまり考えていません。・・・(p.177)
欧米の大学では、・・・自分の著書を教科書や参考書として学生に購入させることは固く禁じられています。(p.180)
ここを読むだけで、世界最高の高等教育制度を維持する北米と日本の差異は明白である。入試制度の問題ではない。実現できない社会制度が問題なのである。
トップ校以外の大学人必読の書
(2008-09-06)
本書には、アメリカでの留学経験と大学勤務経験を持つ著者が、
かの国での大学教育とは何か、といことと、日本の大学の
現状がそれと如何にかけ離れているか、ということを分かり易く
説明されています。
AOという組織を持たない日本の大学で、教員が右往左往しながら
行われているAO入試が、如何に的外れであるのか、
またGPAが如何に大学に相応しい成績評価方法であるのか、
色々勉強になりました。
AOの正常化あるいは廃止やGPAの導入こそ、
現代日本の「普通の大学」に求められるものだと思いました。

